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家出の家
- 次のような話をどこかで読んだことがあります。
- 自殺しようとした天才肌の青年が、寸前のところで助けられます。
- 助けてくれた人に家まで連れてゆかれ、そこで俗世間の「お説教」をいやと言うほど聞かされます。
- そして天才肌ゆえに、そのお説教に耐えられず自殺してしまうのです。
- 彼には心を休められる場所だけが欲しかったのです。
- 本書にもこの話とほとんど同じ内容のことが書かれています。
- その題は「『家出』の家が欲しい」です。
- 作者は「実際に家出をしてみると、自分にとっての家族の意味、親の心、本当に自立してゆくこと、などについてもう一度考え直すことが出来て、それを機会に一段と成長することがある」と語っています。
- こんな時に安心して家出ができる家があれば、多くの非行が防止できるはずです。
- そして著者は「………しかし、家出した子どもたちは、そこで『有り難い話』や『お説教』を聞かされて、心の休む暇はないだろう。
- この子たちに必要なことは、ただゆっくりと休むことなのである。
- 何もしてあげない方がいいのだ。
- 暖かい寝具と心のこもった食事、それだけでいい」。
- この文章を読んで感じたことは、ゆっくりと休むことが必要なのは子どもたちや青年ばかりでは無い、と言うことです。
- 私たち大人も休息、心の安らぎを必要としていると思います。
- それは、現代があまりにもストレスが多い社会であると感じるからです。
- 本書はちかごろ読んだ中では最も感動的な本でした。
- この短い文の中で、感動した内容を十分に伝える事は不可能ですが、その一つとして「子どもの望むもの」と言うのがあります。
- 「子どもが親に望んでいるのは、親の全存在をかけたぶつかりあいなのである。
- それによって得た強いエネルギーの助けを借りて、子どもは大人になるための関門を突破するのである」。
(1992/11)http://www.sunfield.ne.jp/~keigo/sakuhin/syohyo/syohyo57.html
対話する人間(河合隼雄著)(潮出版社)
- 目次
- 過保護なくして親離れはない
- 日本人と子離れ
- 青年期の生き方について
- 親と子のきずなとは
- 「悪の体験」と心のエネルギー
- これからの子育てに望むもの
- 父親の課題
- 父親は多様化を迫られている
- 家族の「対話」
- 働きざかりの落とし穴―中年の発達心理学
- 心のリゾート探し
- アソビの大切さ
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